「ダメだよ千歌ちゃん」あとがき

あらためまして
沼ラブ5新刊「ダメだよ千歌ちゃん」をお読みいただきありがとうございました!

 

今回は曜ちゃんと千歌ちゃん、そして果南ちゃんたちの過去話でした。

 

久々に、あとがきを書きます!

 

※ここからは新刊のネタバレと、自分の勝手なアニメの解釈も入ります。
偏っている考えもありますがご了承いただければと思います。

 

 

 

 

この話を思いついたのが、1月に発行した『ようちかが尊い』を描いていた頃でした。
『ようちかが尊い』はアニメ最終話へつなげていくお話で、それを描いている時に「もしもこの物語が始まらなかったら、この子たちはどうなっていたのだろう」とふと思ったことがきっかけです。

 

もしも千歌ちゃんがスクールアイドルをやろうと思わなかったら
梨子ちゃんはピアノが弾けなくなった転校生のままで、ルビィちゃんは姉に対する遠慮に生きるままで、花丸ちゃんも自分をしまい込むおとなしい性格のままで、善子ちゃんはもう学校に来なかったかもしれない。もちろん3年生は関係が崩壊したまま。

そして、曜ちゃんは千歌ちゃんに対してずっと心に抱いてた
「同じ景色を見たかった」
という気持ちにたどり着くこともなかったんです。

 

曜ちゃんは、常に千歌ちゃんの一歩先にいるヒーローのような子でした。そんな子が千歌ちゃんと一緒に何かをしようとするのなら、それは曜ちゃんが千歌ちゃんのレベルまで一歩下がるしかないのです。スクールアイドル部だって、水泳部との両立という曜ちゃんが無理をする形でやっと成立していただけのことなんです。「一緒に何かをする」だけを求めるのは、常に曜ちゃんが無理をするから成り立つこと。無意識ながら、曜ちゃんも千歌ちゃんが自分よりも後ろにいることを当たり前としていたから成り立つ関係なんです。このままでは本心から2期11話の「憧れている」「同じ景色を見たい」なんて感情は湧いてこなかったでしょう。

そして千歌ちゃんも、曜ちゃんと比べて普通な自分に負い目を感じていた。

いつも側にいることで表面上は分かりあえているからこそ気づかない、奥底にある気持ちのズレ。
これが曜ちゃんと千歌ちゃんにある溝だったと考えています。

 

でも、2年になって千歌ちゃんはスクールアイドルをはじめた。
そしてTOKYOでの0票という大きな挫折に直面して、それを乗り越えて、そしてたどり着いた1期12話での「自分の目の前の景色を見て、まっすぐ走ればいい」という答え。

周りに対するコンプレックスから解放された千歌ちゃんが、前へ突き進み始めた瞬間でした。

前へ突き進み始めた千歌ちゃんは、MIRACLE WAVEでの圧巻のパフォーマンスを成功させてAqoursを全国出場へ導き、全国屈指のスクールアイドルにまで成長していきました。そして浦の星女学院の仲間に「ぶっちぎりで優勝する」と宣言するほどの覚悟を抱けるまでに強くなっていたんです。

 

もうその頃の曜ちゃんと千歌ちゃんには、かつての溝はなくなっていました。
そして、同時に曜ちゃんはいま「千歌ちゃんと同じ景色を見ている」ことにも気がつけたんだとも思います。
気負いも遠慮もない、自然に同じ景色を見れる関係に。

 

 

今回のお話は、そんな「Aqoursの物語」が起きる前のお話です。

焦点にしたのはもちろんようちかの二人ですが、千歌ちゃんがスクールアイドルを初めたことで、他の8人も心の奥底で願っていた奇跡を手にしていくことになります。アニメ開始前に物理的な接点がない1年生を登場させるのは無理でしたが、曜ちゃんと千歌ちゃんのすぐ側にいた果南ちゃんだけは掘り下げてあげたい…ということで今回はサブの主人公として出てもらいました。

 

当サークルの本では初めての(そして唯一の)バッドエンドで、少々驚かせてしまったかもしれません。でもこれは「奇跡の物語へ続く序章」として読んでいただければ嬉しいです。

 

そしてもう一つ。

今回大事にしたかったのは、曜ちゃんが自分の気持に気がつくまでのきっかけです。
上に書いたとおり、千歌ちゃんの成長がその溝を埋めたのはもちろんのことですが、曜ちゃんが「千歌ちゃんのすぐ側にいるのは自分だけじゃない」という状況に直面したことが最大のきっかけだったと思っています。

これまで現状を保ってくれていた「千歌ちゃんの一番側にいる」という分厚い殻のような安心感を壊してくれた転校生。

 

 

それが梨子ちゃんです。

 

 

梨子ちゃんの登場で、曜ちゃんの現状を維持していた殻はついに壊れました。

千歌ちゃんが何を考えているのか、何を見ているのかが分かっていなかった自分についに気がつけたんです。
「千歌ちゃんの見ている景色は、自分の見ている景色と違っていた」ということを。

自分の求めていたものに気が付けた曜ちゃん。
それと並行するように、千歌ちゃんは曜ちゃんと同じ景色を見れるまでに成長した。
千歌ちゃんならではの輝きに、自然に憧れることが出来るようにもなった

 

 

 

そして2期11話の

曜ちゃんの告白シーンですよ

 

 

 

 

 

 

 

あとはもう「ようちかが尊い」のあとがきをご覧いただければと思います。

 

 

 

 

やっぱ

 

ようちかりこって尊い。